2017年9月7日木曜日

杉浦醫院四方山話―518『甲州弁?』

 これも甲州弁の一つなのか定かではありませんが、私の同級生や年配者には、「ざじずぜぞ」が「だぢづでど」になってしまう方がいます。

 

 先日も病院の待合で同級生にばったり会い「どこが悪いの?」と聞くと「でん部」と笑いながら云うので、尻の病気なら痔だと思いましたが、病名は最大の個人情報ですから詮索はそこまでにしました。が、私と同じく友人の心臓外科医を頼りに来たわけですから、「何だM先生は痔も診るのか?」と聞くと「俺はもう体でんぶが悪くてな」で、「でん部」は「全部」だと分かりました。


 役場の以前の上司は、部下を呼び捨てで呼ぶのが常でしたが、「○○しょうぞう」さんを「○○しょうどう」と呼んでいたので、私もいつの間にか上司に真似て彼のことを「しょうどうさん」呼ぶようになってしまいました。

 

 町内の婦人団体が主催した講演会で、司会の女性が最後に「ここで、講師の先生に花束どうていをお願いします」と、「贈呈」が「童貞」になった時には驚きました。


 業者からの納入伝票に「ぞう巾」が「どう巾」と記されていたのを見たこともありますから、当の本人は「ざ」は「だ」「ぜ」は「で」「ぞ」は「ど」で何ら問題は無いのでしょう。このような体験は私に限らず、山梨では多くの方に共通した経験かと思います。


 まあ、例えば「ざんねん」は「だんねん」になる訳ですが、確かに「残念」は「断念」の一里塚でもありますし、「雑巾」も「動巾」で用途的には合ってますから、漢字に変えると哲学的面白みもありますね。

「冷蔵庫」も「霊堂庫」と書けますから、谷川俊太郎センセイ風に詩的発想で「だしきにどうど。だぶとんもどうど」とか「アクセルでんかいでギョーダを食べに行かだあ」「もう不動産は不増産ざね」等々、言葉遊びとしても楽しめます。

                                                              「ざ・ぜ・ぞ」と「だ・で・ど」を矯正するポイントは「舌の使い方」だと何かで読んだ記憶もありますから、これは甲州弁ではなく全国共通なのかもしれませんが、個人的な経験では、都会ではあまり聞いたことがなく、山梨でも若い人の会話では無いようにも思いますが、そんなに若い人と話している訳でもないので確かなことは言えません。