2016年6月7日火曜日

杉浦醫院四方山話―476 『竹の皮』

 2年生がお土産として持ち帰った「竹の皮」は活用されたのか?ゴミ箱行きだったのか?気になりますが、これを機に竹の皮の歴史や価値について「自由研究しよう」と云う子が一人でもいると面白いのですが・・・

 

 私が子ども頃は、竹の皮や柿の葉には抗菌作用があり防腐能力が高いことから食べ物を包む天然ラップとして使われていました。

竹の皮や葉に包まれた「チマキ」や「笹団子」「柿の葉寿司」など現在では希少価値でもあります。実際おにぎりなどをラップやトレーで包むと発生する水分が密閉され、うま味が無くなりますが、竹の皮では適度な通気性で長時間おいしさが保持されるそうです。そう言えば、程よく湿ったグリーンの竹の葉をさっと出し、端にガリをポンと置いてくれる鮨屋は、なぜか共通して旨いように思うのですが・・・・

 

 竹の皮は、食べ物の天然ラップ以外で思いつくのが「馬連(バレン)」です。

 バレンは、版木に塗った絵の具を紙に転写する際使う道具ですが、紙との接点になるのが竹の皮で、滑りが良く版画には無くてはならない擦り道具として、現在でも代用品は無いように思います。

 もともとは、外側だけでなく写真の丸い黒色部分の芯にも竹の皮が使われていましたが、現在の芯はプラスチック性のモノが多いようです。

 これだけ化学製品が発達するとバレンの外側も竹の皮に代わる滑りの良いモノもあるのでしょうが、手の感触や微妙な力の入れ具合など竹の皮に勝るモノはないから使われているのでしょう。

 

 竹の皮は強い繊維質ですから、これを裂いて草履や雨具にも使ってきたのが日本人の職人文化でもありました。

 杉浦醫院の竹林では毎年竹の子の成長と共に脱皮するように竹の皮が剥げ落ちますから、来年は収穫時期や保存方法など学習して「杉浦醫院天然竹の皮」として秋のフリーマーケットで売り出せるよう図ってみようかと思います。最近あまり聞かなくなった「捨てればゴミ、活かせば資源」は、竹の皮の為にあった標語のようにも思います。