2015年11月12日木曜日

杉浦醫院四方山話―454 『 ピアノ再生物語5-整音作業』

 辻村氏と臼間氏の作業工程を実見し、説明を受ける中で分かったことは、辻村氏が実践しているピアノのメンテナンスは、先ず埃や錆び、汚れを徹底的に綺麗にして、アクション各部を主にドライバーで調整する「整調」作業をし、次に音律を正す「調律」を施すと云う工程です。

ですから、一般的な「ピアノの調律」は、「整調」もこの後施した「整音」も入っていないので、一人でも1~2時間で終わることが出来ることも分かりました。


 「磨き」「整調」「調律」が完了した時点で、既に6時間が経過しましたが、辻村氏は「後は整音だけですから」と云うので、5時過ぎには終わるものと勝手に思いましたが・・・・

 

 「整音」作業は、正確なことは分かりませんが、ピアノのハンマー1本1本のフェルトの硬さを調整する作業のようで、これによっていわゆる「ピアノの音色」が決まるようです。 

 始まった「整音」作業は、先ずハンマーのフェルトにある「硬度分布」にそって、そこに針で穴をあけて調整するという細かい作業でした。

  ハンマーのどの位置に幾つ針を入れるかは決まっていないので、二人の経験から編み出されるカンなのでしょうか? 

 

 このハンマーに針を刺す作業で「整音」が終わるものと思っていましたら、今度は、ご覧のようにヤスリでハンマーのフェルトの形を整えるかのような作業が始まりました。この作業がどう音色づくりに係るのかは聞き漏らしてしまいお伝えできませんが、針刺し同様これも一本一本の手作業ですから、この時点で6時30分を過ぎていました。



 その頃、午前中、取材した山梨放送が夕方のワイドニュースで、二人の修復作の様子を放映したのでしょう、町長から電話が入りました.                                              

「最後の工程のようですが、まだ作業が続いています」と応えると「それじゃあ、直ぐ挨拶に行くから」と、消防団団長で鍛え上げた町長の即断力に「さすが」と感心し、ボランティアでここまでしていただいているお二人に町長からの挨拶は何よりのお礼になるので、感謝しつつお願いしました。                                                             

 

 

 作業終了間際に丁度、町長が駆けつけてくれましたので、完成したピアノを前に記念撮影も出来ましたが、お二人は休む間もなく工具の片づけや車への積み込みにかかり、7時30分には「真っ直ぐ帰りますから」と帰途につかれました。

 お二人を見送りながら思わず浮かんだのは「疾風のように現われて、疾風のように去って行く、月光仮面のおじさんは、正義の味方よ良い人よ」のフレーズで、辻村氏と臼間氏の仕事ぶりと人としての実存は、私には、さながら現代に蘇った「月光仮面」そのもでした。 

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5回に渡り、今回の当館ピアノ再生作業について、ご紹介してきましたが、ピアノ素人の視点からの記述で、内容的に辻村氏の本意あるいは説明と違う、不正確な部分もあるかと思います。お気づきの点がありましたら、電話にてご教示いただけたら幸いです。055-275-1400

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