2015年2月17日火曜日

杉浦醫院四方山話―399  『大塚ゼミ・ピアカウンセリング』

 過日、山梨県立大学の大塚ゼミのみなさんが来館されました。

 女子学生から「2月10日の9時30分から11時30分で、地方病についての話しを聞きたい」旨の電話予約を受けました。大塚先生も女性ですから、「ここは、当時のままの医院を観ていただくのが売りですから、全館暖房等の設備はないので寒いですよ。せっかくなら、3月の後半ぐらいの方がいいと思いますよ」と対応すると「しっかり着込んでいきますからお願いします」と寒さなんか大丈夫と云う若者らしい返事ですから、お受けしました。

 
 
 

 当日、下調べもしてきた3人の学生は、的確な質問と臨機応変な対話で、約1時間地方病の学習をして、DVDを観賞後、館内見学をして帰りました。

 

                                              

     大塚先生とは、他の機会でご一緒して話したこともありましたが、ゼミ生3名とは初対面でしたから「どうかな」と思っていましたが、揃って「対話慣れ」していてスムーズな学習会になりました。                若い大塚先生と学生も和気あいあい楽しそうなフレンドリーな会話が「時代なのかなー」と思いましたが、これには訳がありました。                                            

  当日は、その辺のことをすっかり忘れていましたが、大塚先生は、県立大学赴任前は北海道や東京などでピアカウンセリングの専門家として、多くの実績を残されていましたから、大学でも「山梨県立大学山ちゃんサロン」と云う市民に開かれた学習機会を学生と共に毎月開催しています。

 

 この「山ちゃんサロン」は、ピアカウンセリングの理念を基盤とした住民と教員と学生によって運営される自主的なサロンですから、参加者は対等平等で自由な交流が出来る学校や教室とは全く違った雰囲気の中で楽しく話し合える談話室と云った場です。

 

 3人のゼミ生の「対話慣れ」は、このような活動に参加することで、学生の視野が広がるだけでなく、個人的には嫌な言葉ですが、「コミニュケーション能力の向上」に間違いなく繋がっていると感じました。

 

 和歌山県で小学生が近所の青年に殺害されたニュース報道も核心に迫る中、安心して暮らせる街づくりには、「山ちゃんサロン」のような地域の人と人との繋がりを結ぶ場を住民同士の協働で、もっともっと多くの地域で創っていく必要性と重要性を考えさせられます。 

 

 それは、成熟したと言われる現代社会では「うつ病」「自殺」「虐待」「いじめ」など心の健康を抜きに安全・安心の社会は成り立たないわけで、監視カメラや見守り活動だけでは、孤立した或いは孤立させられた人間の苦しみや不安は増大しても癒えることはないのでしょう。

大塚ゼミが取り組む人と人のつながりの場を創設していくピアカウンセリングを基盤とする活動をもっともっと周知して、拡大していく必要性を学んだ2時間でした。