2013年6月4日火曜日

 杉浦醫院四方山話―242 『一紅会歴史部会来館』

 甲府一高東京同窓会には、「一紅会(いちこうかい)」と云う女性部会があり、毎年同窓生の講師を招いて文化講演会を開催しているのは知っていましたが、一紅会歴史部会と云う分科会もあり、定期的に歴史学習会を持ち、その年に学んだ内容と関係する場所を見学して確かめる研修会も開催し、昨年は富山県だったそうですが、今年は故郷・山梨県内を巡るコースで、当館にも来館いただきました。

 女性の会ですから、企画運営は女性が行っていますが、参加者は男女を問わないそうで、この歴史部会にも男性が多数参加していました。
講師は、「通貨統一」「土地制度」「株式」など、近代の経済政策をミステリータッチに描く「経済時代小説」という独自ジャンルを切り開いた、昭和38年卒業の作家渡辺房男氏で、「渡辺房男先生と行く甲州路歴史散策バスツアー」でした。

 昭和30年卒から私より若い卒業生まで約50名が、新宿から大型バスで見えましたが、昭和村出身と云う方もお二人いたり、調剤室では薬剤師の方が、応接室のグランドピアノではピアニストの方が…と、それぞれの専門家がその場その場で解説や実演まで多彩でした。

 「少女時代に純子さんにとてもよくしていただきました」と云う世話人の井上若子さんのはからいで、母家座敷での昼食会も組み込まれ、新緑の庭園で純子さんも着物姿でお迎えして旧交を温めていました。庭園や医院、器展等見学後、中村キースヘリング美術館へと向かいましたが、夜8時新宿駅解散の盛り沢山な12時間だったようです。

 小渕沢のキースヘリング美術館は、東京でバイオのベンチャー企業を立ち上げた昭和40年卒の中村和男氏が、美術館や薬園を故郷山梨に開設している一環ですが、先日の山日新聞「ジモトロジー」シリーズで、昭和44年卒中沢新一氏がインタビュー記事「県出身者活用し魅力発信を」で語っていた内容と重なります。

 「僕も含め、山梨出身の経済人や文化人は自分のことを山梨県人だからここまで出来た、と思っているし、外から見るからこそ山梨の価値を発見できる。人脈や知識は情報発信にも役立つはずですよ」と語っているように「3・11」以降、都会生活者の故郷見直しの機運は高まっているようで、今回の一紅会のようなツアーも広がっていくでしょうから、「昭和町風土伝承館杉浦醫院は外せない」と云う存在にしていきたいものです。