2013年4月23日火曜日

杉浦醫院四方山話―230 『留守ノート5・目黒寄生虫館』

H・P閉鎖中の3月13日(水)に、目黒寄生虫館の小川和夫館長と国立科学博物館の寄生虫博士・倉持利明氏が来館されました。
「財団法人・目黒寄生虫館は、寄生虫学を専門に扱った世界で唯一の研究博物館です」と銘打っているように寄生虫の実物標本も並ぶ、マニアには大変人気もあるユニークな博物館です。
1953(昭和28)年に医学博士 亀谷了(かめがいさとる)氏が私財を投入して東京目黒に設立開館したと云いますから、実に60年の歴史ある博物館です。 クワガタやチョウと違って寄生虫は、万人受けする「虫」ではありませんが、医学的にも科学的にも必要な科学資料館として、その存在は貴重です。              
農学博士でもある小川館長が、東京大学教授を退官後も目黒寄生虫館で、主に魚類や海産物への寄生虫の研究を続けているように現在進行形の寄生虫の研究機関でもあります。「日本寄生虫学会」同様、地道な活動がここでも継続されています。

  杉浦医院診察室の書棚には、三郎先生の専門誌や学会誌などが当時のまま納まっています。
その中に分類整理の為のファイル・ボックスが数個あり、先生の字で「目黒寄生虫館」と記された箱には、目黒寄生虫館から三郎先生に送られていた当時の月報が残っています。
 杉浦医院に残る多数の医学文献を前に「こう云った貴重な文献を誰かが保存、整理していかないと何処でも捨てているから心配だね」とか「小川さん、医学文献学って云うのを立ち上げたらどうですか」等々、歓談しながら丁寧に館内を見学し、写真に収めていました。
 
また、「杉浦医院のブログを読んでは、誰が書いているのか、どんな人なのか興味もあって・・」と聞かれ、「えー光栄です。恥ずかしながら私が・・」と応えると「面白く読ませてもらっています」と励ましの言葉や「目黒寄生虫館にお越しの節は、私を呼び出して下さい」と優しい言葉をいただきました。

以前、町の文化講演会に来町いただいたカイチュウ博士・藤田紘一郎先生も日本寄生虫学会の太田伸生医学博士もそうでしたが、寄生虫の専門家、大御所の先生方は、皆、気さくで優しく楽しいのは、「寄生虫」の成せる業なのか?はたまた、そう云う資質の面々が「寄生虫」に集うのか?どちちらにせよ「かくありたい」という人間的魅力と姿勢が共通していることを実感できた両博士の来館でした。