2013年2月2日土曜日

杉浦醫院四方山話―218 『杉浦医院照明器具-3』


 この重厚な照明器具は、医院玄関タタキの天上に設置されている照明器具です。


213話でご紹介した廊下天井の照明器具と形状は似ていますが、大きさと細工はご覧のように違います。右写真のように廊下が正六角形だったのに対し、変則八角形でガラスも全面に凹凸のあるすりガラスになっています。そのガラスの枠にはご覧の様な文様が彫られ、電気を付けるときれいに光が抜け、手の込んだ造りが浮かび上がります。すりガラスと白熱球が、全体をオレンジ色がかった光に偏光し、大きさも3倍ほど大きいことから、重厚感が一層増す照明として玄関用に選ばれたのでしょう。
 
玄関と廊下に統一したデザインの照明を選択したように玄関を入った待合室には、214話でご紹介した診察室の照明と合わせたアールヌーボー様式の照明が直着けされています。上部の円周は、間違いなく葉の模様で取り巻き、下の部分も花の模様ですが、私にはコスモスかな?程度で、何の花と葉なのか特定できません。花に詳しい方でしたら「○○だよ」と即断出来る典型がデザインされているものと思いますので、是非ご来館の上、ご教示ください。
 「応接室の照明は、確か昭和20年過ぎに今のシャンデリアに交換したのを覚えています。元は診察室と同じ、白くて丸い照明が付いていました」と、純子さんの確かな記憶ですから、診察室と待合室、応接室は、アールヌーボー様式のシンプルで気品のあるデザインで統一し、それぞれが違った花を咲かすよう微妙に違う意匠のものが選択されていたのでしょう。