2013年1月19日土曜日

杉浦醫院四方山話―213 『杉浦医院照明器具-1』


 純子さんが「新館」と呼んでいる昭和4年築の病院には、それぞれの場にふさわしい当時の照明器具が取り付けられて、現在もそのまま使える状態です。
「新館」建設ということで、健造先生と三郎先生が吟味して選んだ照明器具であろうことが伝わるそれぞれに個性的で、手の込んだ今となってはアンティークランプもしくはレトロ照明ですので、実物をご覧いただくのが一番ですが、ご紹介していきます。
 先ずは、母屋と病院を結ぶ廊下天井に設置された照明器具は、ご覧のように六角形の和風でもあり、どこか洋風な感じも漂わせる照明です。
しっかりした黒塗りの枠にガラスがはめ込まれ、下も六角錐台(すいだい)の笠(今風にはシェード)が垂れさがり、台座の六角形の枠は天井にネジでしっかり固定されています。
電球が切れた時は、下左の写真の白い楊枝状の軸が左右に動き、これを右に引き抜くと反対側のちょうつがいが開いて電球交換が出来るという精巧な仕組みになっています。

 これと同じ照明器具は、階段入口部分にもう一つあり、大きさも形状も全く同じですから既製品として、当時は販売されていたものでしょう。
曇りガラスを通した電球の光は、ぼんやりと雪洞(ぼんぼり)のような温かみがあります。
以前、心ある識者から「館内の照明が白熱球や蛍光灯なら、LEDに変えた方がいい」とアドバイスをいただいたことがあります。「実物」の良さと凄さをご覧いただくのが病院棟のコンセプトですから、廊下の照明と云えども裸電球を吊るさなかった杉浦家の拘りと昭和時代初期の先端照明器具が放つ光りを見て、感じていただきたく、識者の忠告もありがたく拝聴したままです。しかし、消費電力や寿命を考慮して(?)白熱電球は今後生産・販売を終了させ、LED電球への切替を促す動きが広がっています。これも天下の宝刀<地球温暖化防止>の御旗からでしょうが、温暖化が望まれるほど寒い日が続く甲府盆地です。