2012年8月9日木曜日

杉浦醫院四方山話―165 『いーなとうぶしょうわ』

 広報昭和8月号に昭和町農産物直売所の起工と10月13日(土)オープンの記事があり、この農産物直売所の名称が「い―なとうぶしょうわ」となったことも紹介されています。「いーなとうぶ」と聞けば「イ―ハトーブ」と重なるのは私一人ではないでしょう。「公募して付けたのかな」とも思いましたが、総務課長が来たので聞いてみましたら「名前は、東部農協が付けた」ことが分かりました。記事にも「今回起工した農産物直売所は、町の補助金により中巨摩東部農業協同組合が主体となり建設・運営するものです」とありますから、東部農協が命名しても不思議ではありません。農協に宮沢賢治ファンが居てちょっと拝借したのでしょうか?「とうぶ」を「とーぶ」と表記しないなら「いーな」も「いいな」で統一して「いいなとうぶ」が真っ当でしょうが、これでは流石に「町の補助金で建ててもらって、いいな東部農協」と皮肉られかねないと、「い―な」とボカし、しっかり「とうぶ」は残したのでしょう。東部農協も日常会話では「とーぶのーきょー」ですから、ここは「イーナトーブ」としっかりパクッテいただき、平仮名表記の「しょうわ」に繋げ、「イーナトーブしょうわ」にして欲しかったなあ・・・と私は思いますが、大きなお世話か。           
名称にあえて拘ったのは、後発の農産物直売所ですから名称のインパクトも必要で、事業主体になる東部農協が語呂の良い「イ―ハトーブ」にあやかろうと云う発想は面白いと思ったからでもあります。イ―ハトーブは、宮沢賢治がエスペラントという世界共通語に親近感を抱いて学んでいたことから、賢治の故郷岩手県をエスペラント語で発音すると、イーハトーヴになることから、理想の土地とか、理想郷とかの意味も込めて賢治が岩手をイーハトーヴと命名した夢や理想を内包した固有名詞です。賢治は、盛岡をモリーオ、花巻をハームキヤ、東京をトキーオ、仙台をセンダード等々、実在の地名をベースに多くの地名を造語して童話等に登場させています。これは、後にタモリが、韓国や中国からのラジオ放送を長時間聴いて、「六ヶ国語マージャン」などの「インチキ外国語芸」を編み出したのと共通する「遊び心」にも繋がります。
 現在、市川大門線にある昭和町の農産物直売所は、「JA中巨摩東部昭和支所農産物直売所」が正式名称で、建物も名称同様、右の写真のとおり「お堅い」感じですが、新たな「い―なとうぶしょうわ」は、語感同様、夢や希望、理想を感じさせてくれる施設になる事でしょう。
それにしても「い―なとうぶしょうわ」のロゴを作成する上でも「イーナトーブしょうわ」の方が、デザイナーも腕の奮いようがあるように思うのですが、酒も飲まずにしつこくなるのは、間違いなく加齢によるものでしょう。