2012年8月29日水曜日

杉浦醫院四方山話―172 『グリーン・アクティブ』

   「骨のある政治家がいない」「2世、3世議員ばっかりで世襲政治だ」等々、現在の日本の政治家については、嘆き節しか聞こえてきませんね。そんな中、甲州人・中沢新一(以下全て敬称略)が代表となって「グリーン・アクティブ」が結成されました。(パチパチパチ)
「まともな人間が政治に行かないから日本の政治が劣化した」と指摘されて久しい中、この「グリーン・アクティブ」の発起人、賛同人には、中沢新一、宮台真司、内田樹と云った「政治に行きそうもなかった」面々が名前を連ねているのが特徴で、思わずパチパチです。
著書「ペログリ日記」で「まともじゃない」烙印も押された田中康夫が孤軍奮闘、国政での活動と発信を続けていますが、数の政治では、点でしかありません。この面々も「まともな人間」か否かは、評価する側の価値観や信条で分かれるのでしょうが、個人的には、田中康夫やこの3人の著作で学ばせていただいてきましたから大いに期待しています。
 先ず、代表になった明治大学野生の科学研究所長 中沢新一は、「僕の叔父さん網野善彦」の著書もあるとおり前話で紹介した歴史家網野善彦の甥です。オーム事件の際には宗教学者として、麻原との関係も取りざたされ追われた過去もありますから「まともじゃない」とする方もいるでしょうが、ニューアカデミックの旗手として(もう古いか?)ジャンルを問わず、吉本隆明亡き後の現代日本を代表する思想家と云った感じです。
 都立大教授宮台真司は、ブルセラ社会学者として登場した感も強く「援助交際」という流行語の元祖でもありますから、まともじゃない?しかし、成熟社会に入った日本の現状と問題点を著書「まぼろしの郊外」で提示し「家庭、地域の学校化現象」に警告を発し、若者には「終わりなき日常を生きろ」と具体的道筋を示してきた社会学者です。鋭い視点と深い洞察、行動力は、同じ社会学者上野千鶴子と並ぶオピニオンリーダーでしょう。
 神戸女学院大教授内田樹の近書「日本の文脈」や「日本辺境論」は、以前当ブログでも紹介しましたが、武道家としてもご活躍ですし、フランス文学が専門ですが、「日本人とは何者なのか」「世界でどういう立ち位置を持っているのか」と云った社会問題にまで明瞭簡潔な答えを出し続けている、矢張り現代日本を代表する論客でしょう。
 この3人に共通しているのは、専門や象牙の塔に閉じこもらない自由闊達な研究と言論活動で、日本版緑の党とも云われる「グリーン・アクティブ」は≪これは「党」ではない。新しい富のかたち、新しい豊かさの感覚、新しい人間的絆のありかたをつくりだす全く新しいネットワーク型運動体です≫と、緑の山梨を本拠地にスタートした「政治運動」です。