2012年7月20日金曜日

杉浦醫院四方山話―160 『風土を伝承するー1』

 日本経済の高度成長とグローバリゼーションの進展は、私たちの生活圏である甲府盆地一帯の街並みも大きく変えました。それは山梨に限らず、日本全国どこを走っても同じチェーン店のロゴやデザインの店舗が並び、「地域の個性」と云った言葉は、過疎地の代名詞にさえなりつつあります。住民も望んだ都市化ですから、そこで育まれてきた歴史や風土、気質や人情といったものまで、平均化、都市化されるのも良しとしてきたのでしょう。     
 地域の個性は平均化しても地域の品性は、地域の歴史・文化を見直し継承していくことで、高めていくことが可能ではないでしょうか。それぞれの地域には、そこで織りなされてきた歴史があり、地域の由緒や伝承は、どこの町や村でも語り継がれ、地域への愛着となってきましたから、都市化の進む中で、地域の歴史や文化を愛好する人々は、逆に増えている現実もあります。
そのような地域の研究者や歴史愛好家の交流をはかることによって、多くの方々が歴史情報を共有し、これまで以上の広がりと深まりを持った「ふるさと再発見」となることをめざす場に活用していこうと「杉浦醫院」に「昭和町風土伝承館」の枕詞を付けた経緯もあります。
杉浦醫院を起点に歴史を楽しむ輪が広がり、地域の文化遺産を未来へと伝えていくことが、このような社会教育施設の存在意義でもあります。
 旧下部町丸畑生まれの木喰上人を柳宗悦の遺志を継いで、在野で研究、伝承活動をしてきた丸山太一氏の研究資料や著書と共に丸山氏の足跡も伝えていくことが、杉浦家と丸山家の数世代に及ぶ交流を背景に、可能になりそうなことから、上記の新聞記事になりました。地方病と云う風土病とその終息の為に尽力した杉浦健造、三郎父子と共に山梨の歴史風土を伝承してきた丸山氏の業績を氏からの寄贈品で進められることに感謝申し上げます。