2012年6月1日金曜日

杉浦醫院四方山話―144 『SEIKO・クレドール』

セイコーウオッチ株式会社 バーゼルワールド 2012
高級ウオッチブランド<クレドール>H・Pから
 昨年の今頃、当ブログ49話「エミール・ガレ」の中でも触れましたが、昭和町押越在住で、昭和町カルチャーデザイン倶楽部3代目代表でもあった塩島敏彦氏は、途絶えて久しいアンティークジュエリー「ピクウェ」を現代に甦らせた宝飾作家として著名です。ピクウェは、ベッコウ、象牙、真珠母貝などの有機素材の表面に、金、銀、真珠貝などでデザインされた模様を、象嵌(ぞうがん)状に連続して押し込み、その連続模様を楽しむ技法ですが、再現することの出来ない幻の技術とされてきました。
 象嵌(ぞうがん)作家の父・東峰氏から象嵌技法を学んだ塩島氏は、象嵌によるピクウェ再現に挑戦し、世界で唯一ピクウェの再現に成功し、その製造技法を後進にも伝えるべく、株式会社東峰を立ち上げ、現在に至っています。
 その塩島氏のピクウェが、今年、セイコーの高級ウオッチブランド<クレドール>に採用され、6月から発売になります。上記写真のように高度な象嵌(ぞうがん)技法「ピクウェ」を駆使した3機種30本の数量限定での発売ですが、手づくりが基本のうえにセイコー社の形状規定をクリアする精度で、これだけの数を揃えるのは大変だったと思います。
 宝飾品のピクウェは、全て一点ものですから、高級車と同じ位の価格ですが、6月8日(金)発売予定の<クレドール>シグノ18Kホワイトゴールドと18Kイエローゴールドモデルは、税込1,470,000円の希望小売価格が付き、7月7日(土)発売予定の<クレドール>ノードJ 18Kピンクゴールドモデルは840,000円ですが、既に大手デパート等が買い付け、完売だそうです。塩島氏は「今製作している宝飾品が100年後に存在し、アンティークジュエリーとなりえた時、初めてT.SHIOJIMAのブランドを名のれるのだ」と控えめですが、昭和町商工会にも加入する塩島氏が、世界に発信する「T.SHIOJIMA COLLECTION」は、ジュエリーのみならず高級時計でも輝き、その真価が着実に評価を増していることを物語っています。