2011年3月11日金曜日

杉浦醫院四方山話―34 『永仁の壷―7』

 大塚製薬グループが創立75周年記念事業として、徳島県鳴門市に総事業費400億円をかけて設立した日本最大級の「大塚国際美術館」は、別名「国際偽物美術館」としても有名です。大塚オーミ陶業株式会社の特殊技術によって、画を陶板に焼き付けて名画を複製し、「陶板名画」と称して《モナリザ》からピカソの《ゲルニカ》まで、古代から現代に至る西洋美術の変遷が美術史的に理解できるように展示され、「徳島で、世界の名画が全て鑑賞できる」と人気です。そのうえ、退色や劣化を避けられない本作品に対し「陶板名画は約2,000年以上にわたってそのままの色と姿で残るので、これからの芸術・文化財の記録保存のあり方に大いに貢献するものです」と大塚館長は胸を張っています。  「偽物があるから本物がある」とか「本物の価値を高めるために偽物が存在する」と云った次元を一気に乗り越え、「本物をしのぐ偽物」を売りに入館料3000円でも大入りの美術館を造ってしまうところが、「真・贋」も愉しむ技術大国日本の凄さでしょうか。肝心な作品の鑑賞より「本物か偽物か」に気を奪われてしまうのでは、芸術が楽しめないので、本物を凌ぐ偽物で、ゆっくり作品を楽しんだ方がお利口ということでしょうが、本物のお墨付きもアテにならないこの世界、最後は自分の感性で、善し悪し、好き嫌いを判断することの必要性を「国際偽物美術館」は、世界に発信しているのでしょう。そこで、「永仁の壷」連載の結論として「価値を決めるのは自分の感性!」をテーマに杉浦家の「永仁の壷」を鑑賞・鑑定して楽しんでいただく「特別公開」を計画しました。杉浦家の「永仁の壷」とこの連載に登場した資料書籍等も一緒に展示しますので、7回にわたりお付き合いいただきました皆様には、是非お越しいただき、実物をご覧下さいますようご案内いたします。

昭和町風土伝承館[杉浦醫院]
春の特別公開
≪杉浦家の「永仁の壷」と資料展≫
杉浦醫院に隣接する正覚寺の桜の開花に合わせ、期日限定で杉浦家の「永仁の壷」を公開します。あなたの目と感性で、この壺の鑑賞・鑑定をお楽しみください。合わせて、改装が終了した地域交流センターとなる旧温室建物と新築された参観者用トイレもご覧、ご使用いただけます。
公開日:4月4日(月)~4月16日(土)
時間:午前9時30分~午後4時30分
場所:風土伝承館 杉浦醫院
尚、この期間中は、申し込みの必要はありません。3日(日)と10日(日)は、休館日です。合わせて、通常の地方病関係の映像鑑賞も可能です。